【コラム】「資本力優位の時代 ~変わる業界地図~」Part3
「資本提携による参入増加」

開発費の増大や、不況の長期化でソフトメーカーの資本力がものを言う時代になったために、もたらされる影響とは「他業種からの参入増加」ではないだろうか。 

「シンプル2000シリーズ」など2000円以下の低価格のゲームを主力に順調に業績を伸ばしてきた「D3パブリッシャー」(D3P)というソフト会社がある。自ら開発部門を持たずに『最高で千万円』(注10)程度のわずかな開発費のみでソフトを制作することを特徴として成長を遂げた会社であるが、現在では低価格のゲームソフトとは別に、販売価格がおよそ5000円以上の高価格帯のゲームソフト(フルプライスゲームソフト)も手掛けるようになってきている。

D3Pがフルプライスゲームソフトを制作する理由としては、得意としている低価格帯市場の占有率がすでに高いことが挙げられる。同社がこれ以上の成長を果たすためには、高価格帯のゲームも制作・販売することが不可欠だ、と考えたのだろう。

しかし、D3Pの挑戦は残念ながら思惑通りにはいかなかった。一作品の開発費として数億円を投じた「フルプライスゲームソフト」の販売低迷により、同社は2003年10月期の最終損益で約1億円の赤字に転落した。経営再建策の一環としてD3Pは、パチンコ機器販売を手掛けるフィールズからの出資を受け、同社の傘下に入ることになった。

一方、D3Pをグループ化したフィールズは、これまでゲーム関連事業にはあまり注力してこなかった。だが、今後は同事業を基幹事業の一つと位置づけており、D3Pとの資本提携はそれの現れである。ゲーム市場は縮小傾向にあるとはいえ、やはりゲーム関連事業には大きな利益を得るチャンスがあるとフィールズは見ているのだ。だからこその“出資”であろう。

このように、資本力がさほど強くないソフト会社は開発費の高騰のあおりを受け、資金不足に悩まされる可能性が以前よりも高くなってきていると言える。逆に資本がありながらも、十分な開発力や企画力などのノウハウがないために、ゲーム市場へ本格参入してこなかった企業にとってはチャンスである。なぜなら、D3Pのようなソフト会社と資本提携を行うことによって、すばやくゲーム市場に乗り込むことができるからだ。

つまり、資本力のある企業にとって、それだけ参入が容易になりつつあるのだ。セガがパチンコ・パチスロ製造メーカーであるサミーの関連会社となった事例や、玩具メーカーのタカラによるアトラス買収なども、資本力優位の時代の象徴と言えるのかもしれない。資本力優位の時代が続く限り、これからも他業種による参入は続くだろう。

しかし、ここで疑問が残る。それは、なぜ他業種からの参入が増加するのか、ということである。そもそも資本力のある同業他社が真っ先に、資本提携先として名乗りを上げても良いはずである。傘下の子会社を増やすことは、ゲーム市場での収益拡大を目指す手段として悪くはないだろう。それなのに、なぜ同業他社による資本提携のケースが増えてこないのか。最後に同業他社による企業買収が増えない理由を考えてみたい。

注10…2002年3月4日 日経金融新聞

(つづく)

(ライター:菅井)

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