【コラム】「資本力優位の時代 ~変わる業界地図~」Part1
「高まる価値」

近年の経営不振の影響から、ここ数年でめまぐるしく経営陣の交代があったセガが2003年4~12月までの決算を発表した。昨年から、社長のバトンを受け取った小口氏が推し進めた経営改革の成果により、経常利益は前年同期比20%の伸びを確保した。業績向上にもっとも寄与したのが、経費の削減である。『販売ソフトの絞り込み』(注1)など開発費や宣伝費の削減が功を奏し、家庭用ゲーム部門の赤字が減少した結果が増益となって現れたのだ。


カプコンも同様に『ソフトを作れば大ヒットという時代ではない』(注2)との考えの下に、採算が合わないソフトの開発からなるべく早期に撤退できるように改善を施した。こうした開発本数の絞り込みが起きる背景には、ゲーム市場の冷え込みがある。

コンピュータエンターテインメント協会(CESA)の調査によると、国内のゲームソフト総出荷額は、2000年の2931億円から年々減少し、2002年の時点では2492億円にまで落ち込んでいる(注3)。ゲームソフト市場が縮小傾向にあることに対してコナミ上月社長は『国内家庭用ゲーム市場が縮小していることを真剣に受け止める時期が来ている』(注4)と述べ、危機感を露わにする。

ゲームソフト市場の不振を補うため、各ソフトメーカー、特に大手と呼ばれるゲームソフトメーカーは積極的に対策を講じている。その代表的なものが成長著しい海外市場での販売強化と、ゲームソフト事業以外への進出であろう。従来よりソフトメーカーは海外市場を販路のひとつとして認識してきたが、現在の国内市場の低落傾向を考えると、これまで以上に海外での販売を強化する必要がある。中でも20%以上の伸びた2002年に引き続き、2003年も『金額ベースの伸び率は五・四%』(注5)を確保した米国市場は、最も重要な海外市場である。このような急成長を続ける市場に注力するのは当然の施策であると言える。

ゲームソフト事業だけではなく、それ以外の分野に進出し、収益の確保をしようと考えているソフトメーカーもある。スポーツクラブ運営事業を手掛けるピープル(現コナミスポーツ)や玩具メーカーのタカラなどをグループ内に取り込み、積極的に他事業への参入を進めているコナミはその筆頭であろう。

しかし、こうした他事業への進出や、海外市場での販売強化などにはそれなりの資本が必要になる。前記したような不況対策を実施できるだけの資本を持っているソフトメーカーは良いが、そうでないソフトメーカーはその分だけ、厳しい戦いを強いられてしまう。保有する資本の差が、そのまま企業間格差の拡大に繋がってしまう恐れがあるのだ。

いつの時代でも資本は貴重なものであるが、現状を鑑みると資本力の多寡がその企業の行く末を左右するほどの重要性を持つようになってきている、と言えるだろう。資本はゲーム市場の低迷に反するように、徐々にその価値を増しつつあるのだ。

今回は、「資本力」をキーワードに現状のゲーム業界を考えてみることにしたい。

注1…2004年2月6日 日本経済新聞
注2…2003年12月25日 日経金融新聞
注3…『週刊東洋経済 2003.8.30』 P46 東洋経済新報社
注4…2003年12月22日 日経産業新聞
注5…2004年2月2日 日本経済新聞 夕刊

(つづく)

(ライター:菅井)

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