「老舗の逆襲 ~新携帯ゲーム機の狙い~」Part3
「本当の敵」

年内に発売される予定である「ニンテンドー・DS」。しかし、SCEが発売を検討している携帯ゲーム機「PSP」に対抗するためだけに、同機が開発されているわけではない。ニンテンドー・DSが戦わなければならない相手はPSPではなく、普及台数4000万台を誇るGBAでさえも凌駕する「携帯電話」に他ならない。

国民の過半数以上が保有している「携帯電話」の契約者数は、2003年12月末の時点で8000万台に迫るほどになっている。普及に一役買っているのが、99年に登場した「iモード」に代表されるインターネット接続サービスである。これを利用している契約者があまりに多いため、このサービス向けにゲームなど各種コンテンツを配信する事業に特化した企業も数多く出現しているほどだ。

その一方で、ゲームの市場規模は減少傾向に陥っている。コンピュータエンターテインメント協会によると2002年の『国内のゲーム関連市場の規模は前年比一八・三%減の五千十三億円』(注8)となり、調査開始以来初めて二桁のマイナスを記録している。その遠因として「携帯電話の急激な普及」をあげる人は多い。つまり『携帯電話の普及が原因』(注9)となって、『業界の創生期を支えた二、三十代のゲーム離れ』(注10)を引き起こしたために市場が縮小してしまった、というのだ。

かつてゲームに向けられていた時間と金銭が、いまは携帯電話に振り向けられている。ゲーム市場の縮小と、携帯電話向けにコンテンツを配信している企業の急激な成長を見れば、こうした考えはあながち間違いではないだろう。急成長の結果、株式上場を果たすコンテンツ配信企業さえある。

しかし、携帯電話の普及による大人のゲーム離れに人一倍の危機感を持ったのが任天堂だったのはないだろうか。だからこそ、任天堂はその対策として、携帯電話に対抗できるような新しいゲーム機が必要だと考え、携帯ゲーム機「ニンテンドー・DS」を開発したのではないだろうか。それを裏付けるような指摘もある。『任天堂は、ニンテンドー・ディーエスについてはゲームボーイとは別々にマーケティングを行うとしている。このコメントは、この新ゲーム機が、子供向けのゲームボーイよりも高い年齢層のユーザー向けとなる可能性があることを示している』(注11)。

では、なぜ任天堂は、携帯電話に対抗する大人向けのゲーム機として携帯ゲーム機を選んだのか。それは、大人にはあまり自由に使える可処分時間が少ないことが関係している。そもそも、大人は子供と違って、テレビの前に座ってゲームをする時間をそう簡単に作ることはできない。しかし、携帯ゲーム機なら場所を問わず、空いた時間にゲームができる。ゲームボーイやGBAを保有している大部分が子供であるため、漠然としたイメージとして「携帯ゲーム機は子供のもの」と思われてしまいがちだが、ゲームにあまり時間を割けない大人にとって「いつでもどこでもゲームができる」携帯ゲーム機こそが本質的に彼らに最も適したゲーム機なのである。ただ、だからといってGBAに多少のマイナーチェンジを施し、大人向けのゲーム機として販売したとしても、大人が「子供の玩具」という印象が染みついた「新GBA」を買い求めるのか疑問である。だからこそ、全く新しい携帯ゲーム機が開発されたのだ。

こうしたことからも、あくまでニンテンドー・DSの対象は大人であり、敵は携帯電話にあると考えることができる。ニンテンドー・DSは決して、PSP対策に主眼を置いているわけではないのだ。

注8…2003年7月29日 日本経済新聞
注9…2003年8月7日 日経流通新聞MJ
注10…2003年8月28日 日経産業新聞
注11…『[WSJ] 任天堂、2画面の携帯ゲーム機“ニンテンドー・ディーエス”発売へ』 2004年1月21日

参考文献…『電気通信事業者協会 プレスリリース(事業者別契約数 平成15年12月末現在)』

(つづく)

(ライター:菅井)

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