「任天堂の不作為 ~批判の裏側にある事実~」Part3
「不作為」

任天堂によるオンラインゲーム批判は、簡単に言えば自社の顧客に配慮せざるを得なかった結果であると、結論付けることが出来る。任天堂を支えている子供たちにとって、オンラインゲームは金銭的負担が大きく、プレイするのは困難である。だからこそ、任天堂はオンラインゲームを批判しなければならなかったのだ。

しかし、オンラインゲームは今後かなりの飛躍が期待されている分野でもある。岩田社長が述べたように、オンラインゲームだけを価値のあるものだと決めつけるのは、いささか行き過ぎの感があるが、それでもオンラインゲームの将来性は十分にある。その期待の星を過激な表現で批判できるのは、いかにも任天堂の社長らしいが、一方で任天堂はそういう批判ができる環境にあることを反省しなければならない。

今年は任天堂がファミリーコンピューターを発売して以来、20年目になる。当時ファミコンで遊んでいた子供たちの殆どは、すでに成人を迎えている。しかし、メディアクリエイト細川社長によると、近年の傾向として『第二次ベビーブーマー(団塊ジュニア、七〇年代前半生まれ)がゲームを卒業し出したんです』(注3)と指摘、当時のユーザーのゲーム離れが進んでいると分析する。これが任天堂によるオンラインゲーム批判の遠因である。

そもそも、任天堂がオンラインゲームを批判している理由は、自社の主要な顧客である子供たちにとって負担が大きいからである。だが、仮に任天堂の主要な顧客が子供だけではなく、かつてファミコン世代と呼ばれた大人たちも、いまだに任天堂ユーザーであったのなら、任天堂はオンラインゲームをここまで痛烈に批判していただろうか。

大人は子供と違い、オンラインゲームをプレイするだけの金銭的余裕がある。任天堂が問題にしてきた月額会員制も子供たちには負担が大きいが、彼らなら十分解決できる金額だ。仮に自社のユーザーが金銭的問題を解決できると分かれば、任天堂はオンラインゲームをここまで批判する必要に迫られなかったはずであろう。

それなのに、いまの任天堂はオンラインゲームを批判している立場にある。このことは、かつての任天堂ユーザーであった70年代生まれの子供たちのゲーム離れ、あるいは任天堂離れを止められなかった結果なのだ。そのため、任天堂にオンラインゲームを声高に批判できる環境が出来上がってしまったのである。任天堂は長年“いまの時代の子供たち”を顧客にするだけで、彼らがその後大人へ成長したとしても、特に何もしてこなかったのだ。その代償が、岩田社長によるオンラインゲーム批判となって現れているのである。

これは任天堂にとって大きな損失であろう。オンラインゲームを批判することは、現在の任天堂にとって何でもないことであるが、実は批判できること自体、任天堂は反省をしなければならない。

注3…2003年6月15日 日本経済新聞

(つづく)

(ライター:菅井)

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