「SCEの提言 ~再成長への布石~」Part2
「平準化の意味」

SCEは「PlayStation Meeting 2003」において、「出荷時期の集中」を問題視し、改善するようソフトメーカーに提言を行った。しかしながら、一年の中で最も需要が高まるクリスマス商戦に合わせて出荷時期が集中するのは当然であり、昔から続いてきている慣習でもある。SCEがプレイステーションシリーズでゲーム市場の覇権を握った後でもそれは変わっていない。それなのに、なぜ今になって出荷時期の集中を変えるように提言をしたのか。

そもそもソフトの需要が年末に集中してしまう理由は、何よりも「子供」がゲーム市場における中心的な顧客であり続けているからだ。彼らの購買力では、日常的にゲームソフトを購入し続けることは難しい。だから、新しいゲームソフトを入手する本数がどうしても限られてしまう。そんな中で、自らの購買力と無関係にゲームを手にすることができる数少ない時期のひとつがクリスマスなのだ。ソフトメーカー側としても、その最大の需要期にソフトを供給するのは当然の策と言えよう。

だが、それが供給過多による競合を引き起こし、期待したほどに売上が伸びない弊害を生むことがある。『クリスマス時期に200種とかタイトルが出て来ちゃうと逆に売れ行きがダメだったりすることがある』(注1)。このような弊害をなくすためにSCEは、ソフトの出荷時期が集中しないように、各ソフトメーカーへ提言を行ったのである。

SCEとしては出荷時期が平準化されればそれで良いのかもしれないが、逆に顧客である子供たちは困るだろう。SCEが勧めている平準化とは、単純に言うと子供たちが限られた購買力を費やしてソフトを購入している時期に、供給を増やしなさい、ということである。だが、そんな時期にソフトが今まで以上に発売されたとしても、子供たちはすべてを購入できるわけではない。ソフトが増えた分、より厳しく購入するソフトを選別せざるを得ないのだ。なぜならクリスマス以外の時期では、そう簡単にソフトを購入できないからだ。そうなると、平準化によってクリスマス商戦に発生していた競合が、これまであまり競合が起きていなかった時期へ、単にずれてしまうことだけになりかねない。

これでは改革を試みた意味がなくなる。平準化を意味あるものにするためには、購買力があり、ソフトを買う本数も子供ほど制限されていない層を取り込むしかない。つまり、12月集中型の今のゲーム市場の構造を変え、出荷時期の平準化を成功させようと思えば、購買力のある「大人」に頼らざるを得ないのである。

こうしてみるとSCEの提言は、間接的に顧客層を「子供」から「大人」へ転換するように求めていると言えるだろう。子供たちが依然として顧客層の中心となっている現状では、低成長化してしまったゲーム市場をもう一度、高成長に導くのは難しい。だからこそ、ゲーム市場の主役交代がいま必要なのだ、とSCEは考えたのではないか。

今日でも年末にはゲーム市場は大いに盛り上がる。年末に盛り上がるのは大変良いことだが、裏を返せば未だにゲーム市場の主役が「子供」である証拠だとも言える。ゲーム市場の盛り上がりを一年間通して保ち続けるためには、子供依存からの脱却を図る必要があるのだ。

注1…「月刊アスキー 2000年4月号」 P244 アスキー

(つづく)

(ライター:菅井)

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