「リストラ ~ソフトメーカーの組織改革~」Part2
「カプコンの選択」

家庭用ゲームソフト部門の営業利益が前年比約40%減を記録したカプコン。市場全体がようやくプラスに転じたにも関わらず、カプコンにとって最も大事な収益源が大きなマイナスを記録するようでは今後の発展は望めない。そのため同社は「営業・販売部門の強化」による改革に乗り出した。具体的には『営業部門や販売部門が調べた市場動向や損益分岐点の分析をもとに、開発部門がソフトをつくる』(注4)方式に切り替えるという。これは、『ゲームソフトメーカー世界最大手、米エレクトロニック・アーツ(EA)をモデル』(同)にしたものである。今回の改革によって、カプコンはユーザーの声を開発に反映させやすい環境を作り上げ、「ユーザーが求めるソフト」を製作する方針に、より傾注していくのだと思われる。

同社がEA方式を採用した理由としては、従来から営業部門を重視していた過去があったからであろう。営業担当のカプコン辻本取締役は以前こう話していた。

『もともとゲームメーカーは、開発業務中心で営業戦略が後手に回ることが多かったのですが、我が社の場合は、開発スタッフと営業スタッフが綿密な会議をくり返します。営業側も明確なビジョンに基づいて事前に販売戦略を立てていますから、開発側の疑問にも的確に答えることが可能です』(注5)。

辻本氏の話からも分かるとおり、開発偏重になりがちなソフトメーカーの中でカプコンは、前々から営業部門を積極的に活用してきたのだ。しかし、それが十分ではなかったことが今回の部門業績悪化で明らかになってしまった。そのため、改革の必要性に迫られたカプコンは、改革案を具体的に検討する中で営業を重視する自社の戦略が世界最大手のEAと類似していたことに気が付いたのだろう。

しかも、カプコンの2003年3月期は保有している不動産の資産価値下落により巨額の損失が発生し、最終赤字に転落している。カプコンとしては、この赤字を埋め合わせるためにも、基幹事業であるゲームソフト部門の収益性をできるだけ早期に改善したいと考えていたはずだ。そんな中で自社と方向性が同じであり、なおかつ、より進んだ開発・販売モデルを持つEA方式はカプコンにとって非常に有り難いものであっただろう。なぜなら、EA方式を踏襲すれば、戦略が似ているだけに比較的短期間で改革ができるためだ。だからこそ、このような改革を施すことになったのである。

つまり、改革のために許された時間が少ないカプコンにとって、EA方式を踏襲する改革は素早い組織改革を期待できる妙案だったのである。

 
注4…2003年5月30日 日経産業新聞
注5…「週間ファミ通NO.684」 P118 エンターブレイン 2002

(つづく)

(ライター:菅井)

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