「セガの未来 ~歴史は語る~」Part4
「ひとつの失敗」

鳴り物入りでセガに入社し、同社を順調に改革してきた香山氏。ハード事業の撤退と他社ハードへの参入、アミューズメント関連事業の立て直しと低迷していたセガを大きく変えてきた。その結果、2002年3月期は数年ぶりに営業利益を生み出し、再建は軌道に乗っていたはずだった。しかし、飛躍を期したアメリカでのゲームソフトの販売で惨敗してしまう。このたったひとつの、しかし決して小さくはない失敗がセガの未来を大きく変えてしまうことになる。

香山氏の実績は十分評価すべきものである。年度内に二度も業績の下方修正をしながらも、アミューズメント関連事業の奮闘によって営業利益を確保していることは否定しがたい事実である。赤字体質が染みついていたセガにとって、二期連続の営業黒字達成は意味のあることだろう。さらには、現金収入も十分にあり、懸案であった巨額の借入金も順調に返済しつつある。

それでも再建失敗と言われる背景にはセガに対する期待の大きさがあったからだ。他社ハード参入前のセガの評価はとても高いものだった。『DC(ドリームキャスト)以外のハードで発売すれば100万本以上のヒットタイトルは数多く生まれるとの声は以前から高く、ソフト開発能力では間違いなく任天堂に次いで世界2位の企業である』(注8)、『ソフト開発の潜在力はトップクラス。…セガが大ヒット作を生み出せば、最終勝者はソニー、任天堂の二強やマイクロソフトでなく、セガになる可能性すらある』(注9)という評価が大半を占めていた。だが、こうした期待があまりにも大きかったために、逆にそれが失望を呼び、再建失敗と言われる原因になる。

香山氏は過去に『改革には順序がある。微妙な狂いで可能なことも不可能になる』(注10)と言っていたが、周囲が期待した順序通りの改革というのは「赤字体質脱却後、早期での高収益企業への変身」だったはずだ。そのシナリオをゲームソフト事業の不振が狂わせたのだ。期待が大きければ大きいほど、裏切られたときの反動は強いものになる。セガにとっては下方修正したとは言え、黒字化を達成できる見込みであるのだから、業績修正は「微妙な狂い」だったのかもしれない。だが、周りの人間にとってそれは大きな落胆なのだ。だからこそ、可能であったはずの自力再建が不可能になってしまったのである。

その一方で、セガを欲しいと考えている企業は数多くある。大きな失望を買いながらも、一方で注目され、それでもなおセガに期待を掛ける企業があるのは、優秀な開発力があるからだ。セガに声を掛けてくれる企業のためにも、またセガを支えているゲームユーザーのためにも、彼らはこの開発力と統合相手の力を上手に利用して、もう一度成長路線に返り咲かねばならない。これから生まれるであろう“新生セガ”は、もうそろそろ周囲の期待に応える必要がある。

(注8…「ソシエテ ジェネラル証券 セガレポート」 2000年11月27日 カッコ内筆者)
(注9…日本経済新聞 2001年1月29日)
(注10…日本経済新聞 2002年1月17日)

(おわり)

(ライター:菅井)

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