「PS2、勝利宣言 ~ソニーの事情~」Part2
「ソニーのあせり」
 
ソニーグループの2002年3月期の決算は思わしくない結果に終わった。売上こそ微増になったが、本業の儲けを示す営業利益は大幅に減少した。ソニーが不振に陥った主因は、売上高で60%を占め、これまでソニーを支えてきたエレクトロニクス部門が赤字に陥ったためだ。しかし、それでもソニーグループ全体として黒字を維持できたのはゲーム部門が大きく貢献したからである。

ソニーの部門別の営業利益を詳しく見てみると、ゲーム部門はすべての部門(金融・音楽・映画・エレクトロニクス)を抑えてトップの利益を稼ぎだしている。売上高ではわずか13%程度でしかないゲーム部門が、ソニーグループの全営業利益の60%を生み出しているのだ。前期のソニーの黒字化に大いに貢献したのは、売上高においてわずかなシェアしか持たないゲーム部門に他ならないのである。

この結果、ゲーム部門はソニーにとって必要不可欠な存在にまでなったと言うことができる。ソニーの出井会長もゲームなどのコンテンツ事業を再評価しているようで、これらの事業を軸としてソニーグループの未来像を描いている。簡単に言えばコンテンツを武器に、ソニー製品を売り込もうとしているのだ。

ゲームは、その良い例だ。ゲームという非常に魅力的なコンテンツを武器にすることでソニー製のゲーム機を売ることができる。それによりエレクトロニクス部門は利益を挙げ、なおかつPS2の普及はDVDソフトの普及を手助けをする。そうなると、優良なDVDソフトを多数保有している映画部門(ソニー・ピクチャーズエンタテインメント)の収益をも押し上げる要因にもなる。コンテンツ事業を軸にすることで、ソニーグループ全体に相乗効果をもたらすことができるのだ。

これからのソニーにとって必須であるコンテンツ。その代表格であるゲーム事業は、それこそソニーの未来を左右するといっても過言ではない。ならば、ゲーム部門はこれから先も常に高収益を挙げ、人々を惹きつけるだけの魅力あるソフトを提供していく必要があるはずである。そのためには、他社とのゲーム機戦争に負けるわけにはいかない。もし、負けることがあれば、影響はSCEだけに留まらない。ソニーグループの今後を大きく変えてしまう可能性も十分にあるのだ。ソニーとしては、それだけは避けたい。だから、できるだけ早めにゲーム機戦争での勝利を手に入れたいのだ。

先の平井氏の発言は、こうした背景があったために発せられた言葉ではなかっただろうか。ゲームなどのコンテンツが導くソニーの未来をより盤石なものにするためには、XboxやGCとの決着はもう済んでいると公言し、PS2の勝利をグループ内や業界関係者、なによりユーザーに知らしめる必要があったのだろう。

圧倒的な普及台数と豊富なソフト、さらにSCEの勝利宣言が組み合わされればユーザーはどうしてもPS2に目を奪われる。それによって普及台数がさらに伸びれば、ソフトメーカーもPS2を中心にソフトを開発せざるを得ない。ハードが普及し、ソフトが集まるという好循環がいったん始まれば、後発メーカーがそう簡単に覆せるものではない。勝者の立場に一番近いPS2が勝利宣言をすることでその好循環の流れを一気に加速させ、PS2の勝利を“本当”に確定させてしまいたいと平井氏は考えたのではないだろう か。

“平井発言”の真相はソニーグループの方針が別の形で表れたと解釈できるのだ。

(つづく)

(ライター:菅井)

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