【コラム】「変わり行く任天堂 ~変化に迫られたわけ~」part4
「危機感」

任天堂を一連の行動に突き動かしたのは、ゲームに対する危機感があったためだと、最後にそう予想する。いまゲームがおかれている環境は決して安穏としていられるものではない。特に、新作ゲームソフトのマンネリ化が進む現状は、将来のユーザー離れを引き起こす種子をばらまいていると言っても良いぐらいの危険性を孕んでいる。山内社長はゲーム開発ファンド「ファンドキュー」を設立した趣旨をこう話している。『日本のテーマパークはユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)と東京ディズニーランド以外は厳しく、遊ぶ人の選択肢が絞られてしまった。ゲームソフトも同じで、ロールプレイングやアクション、格闘ゲームとは違う新しいジャンルを作り上げる必要性を痛感している。才能を伸ばして新ジャンルを作るための開発資金が必要だが、IT不況でベンチャーキャピタルはゲームソフト開発に投資してくれず、銀行も貸してくれない。それで基金を創設した』(Mainichi INTERACTIVE 以下、前記)。山内社長を巨大ゲームファンド設立へと走らせたのは、この強い焦燥感があったためだ。つまり、周りの環境の変化を放っておくと、ゲーム産業が駄目になるかもしれない。そのような危惧が山内社長を、任天堂を動かしたのである。

唯我独尊であり、かつ傲岸。これがいままでの任天堂だった。しかし、環境は大きく様変わりしつつある。今のままの対応ではいけないと彼らは考え始めたのだ。「ファンドキュー」の存在は、そんな任天堂の新たな意思表示でもある。“絶縁状態”だったスクウェアの関連会社に、従来のゲームの在り方を変えるためのゲームファンド「ファンドキュー」の資金を投入し、“他企業”のゲーム開発を後押しする。これだけを見れば、任天堂が変わったのが一目瞭然でわかるだろう。

任天堂の態度の変化は、ひとつの理由だけでもたらされたものではない。いくつかの要因が複合的に重なり合って、変わらざるを得ない状況に立たされたのだ。自社ハードの活性化のための対応は急務であるし、社長の交代は任天堂にとって変革を迫られるほどの一大事だ。さらには、ゲームを取り巻く環境が以前より厳しさを増しつつある現状も、任天堂に変わる原動力を与えた。やはり、何かが変わるためにはきっかけが必要なのだ。ただ、今のところ、任天堂が変わったことによる恩恵は、スクウェアなどの一部の企業にしか与えられていない。今後は、特定の企業だけではなく、ゲーム産業全体に恩恵をもたらすことが求められる。

だが、心配には及ばないだろう。何と言っても彼らには、ゲーム産業をここまで大きくしたのは我々だという“プライド”がある。そのプライドに懸けても、ゲーム産業全体に寄与するような政策を打ち出していくだろう。ともすれば、あまりに大きくなりすぎ、他企業からすれば、さぞや煙たいものだったろうが、これからはそんなことを気にする必要は無い。

…少なくとも、任天堂が危機感を持っている当分の間だけは。

(おわり)

(ライター:菅井)

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