【コラム】「巨星落つ ~遅れた葬礼~」part1
「高まる存在感」

現在、一部の中小のソフトメーカーの存在感が高まりつつある。中小ソフトメーカーの重要性が増しているのは、ひとえに大手ソフトメーカーのおかげである。それは大手が中小を“下請け”として重宝しだしているからだ。

中小ソフトメーカーの経営はいつの時代でも厳しいものがある。ゲーム業界で勝ち残り、大手へと成長するためには、自社制作のゲームソフトをヒットさせるのが一番の近道であるが、それは口でいうほど簡単ではない。大きなヒットは大手でも生み出すのは難しいのだから、中小であればなおさらだ。では、中小は慢性化している厳しい経営環境からどのように抜け出したらよいのであろうか。いつ出るともわからない大ヒット作を待ち続ける方が得策なのか。あるいは、別の道を選択するべきなのか。いずれにしろ、今日存在感を大きなものにしつつある中小ソフトメーカーは、後者の道を選んだ所に多い。

別の道というのは、前述した通り、大手の下請けになることである。中小でありながらも、下請けとして生き、ついには株式公開企業になったソフトメーカーに、格闘技ゲームの制作を得意とする「ユークス」がある。ユークスはアメリカのソフトメーカー「THQ」の下請けとして、同社から委託されたゲームソフトの開発を手掛け、ついには公開企業になるまでに成長した。かつてはユークスも独自の自社ソフトの開発・販売をしていたが、『自社ソフトの制作は小規模のソフト開発会社にはリスクが大きすぎる』(2002年3月1日 日経産業新聞)として、大手からの受託開発に特化するようになったのだ。結果、中小ソフトメーカーという立場に変わりはないものの、安定した業績を確保することに成功したのだ。

ユークスのように下請けに特化して、不安定な経営環境を打破した中小ソフトメーカーは少なくない。逆にいえば、それだけ大手から中小へ出される注文が多いのである。最近では、大手から寄せられるゲームソフト開発依頼の中に、企画の段階からソフトを開発してほしい、と頼んでくるものが多くなってきているという。『新作ではキャラクターや簡単なイメージしか決められておらず、シナリオやゲームシステムなどはほとんど開発会社にお任せ』(同)と語るのは、下請けとして有名なソフトメーカー「トーセ」の坂口氏である。

開発作業のほとんどの部分を下請けに回してしまうこともあるのだから、それだけ大手にとって下請けとなる中小は欠かせない存在になりつつあるとも言えるが、大手のその行為はあまり誉められたものではない。開発の一部を委託するだけならまだしも、殆どすべてをおまかせにしてしまっている企業を“ソフトメーカー”と呼ぶのには抵抗がある。企画の段階からほとんどのゲーム制作を下請けに委託する大手の行動は“開発の丸投げ”に等しい。

しかし、なぜ大手が丸投げをするようになってしまったのか。仮にもソフトメーカーなのだから、企画ぐらい作れるはずである。それなのに、企画すら委託してしまうのは、ひとえに彼らのアイディアが枯渇しているからだろう。『ほとんどのテレビゲームのネタは出尽くし、ネタ不足が続いている』(同)と話すのは、任天堂の山内社長である。舌鋒するどい山内氏には、ゲーム業界の現状はマンネリ感ただよう慢性的なアイディア不足の状態にあると映っているのである。ならば、このマンネリ感を打開するためにはどうするべきなのか。

解決策はあまた存在しているだろうが、そのひとつとしてここでは「葬式をあげる」ことを提言したい。では、一体“葬式をあげる”とは何なのか。ゲームとはほぼ無縁の、この言葉が持つ意味をこれから明らかにしたい。

(つづく)

(ライター:菅井)

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