【コラム】「ソフトメーカーのサバイバル術 ~規模か戦略か~」Part4
「甘い誘惑」

開発費の高騰が続き、規模の小さい所はこれからさらに厳しい状況に追いこまれるとの一般的な見方に対し、厳しくなるのは中小規模のメーカーではなく、得意な分野に特化しない戦略を取ったメーカーだと主張する宮路氏。確かに、総合型のスクウェアが経営危機を迎え、反対に特化型のコナミが大成功を納めているのだから、その主張には説得力がある。これからゲーム業界で生き残っていくためには特化型を志向するのは一つの良い方法なのだろう。だが、その一方で『企業は、つい総合メーカーになりたがる』(Mainichi INTERACTIVE ゲームクエスト キーマン・インタビュー 「ゲームアーツ社長宮路洋一さん」 2002年)現実がある。これはなぜなのか。理由としては「売上の確保」がある。

売上を確保するためには二つの方法がある。ひとつは、大ヒットゲームを出すこと。もうひとつはそこそこ売れるゲームソフトを数多く出すこと、である。前者と後者、どちらが楽で、どちらが困難かと言えば、前者が困難で後者が楽だ。例えば、ソフト100万本分の売上を達成しようと思えば、100万本売れるソフトを“一本”だけ作れば良いのだが、それは口で言うほど簡単ではない。しかし、1万本売れるソフトを100本作ろうと思えば、100万本という目標は比較的楽に達成できる。ある一定の売上を確保するためには、ミリオンセラーのソフトを作るより、はるかに現実味のある選択なのだ。だが、そうなると、ソフトメーカーは自然と自分達の得意とするジャンル以外のソフトも開発するようになる。いつしか、そのソフトメーカーは総合型メーカーに変わっていくことになるのだ。

一定の売上を確保する安易な方法として総合型になる道があるが、この選択肢はソフトメーカーとしては“甘い誘惑”とも言えるだろう。企業として、ソフトメーカーとして、その誘惑に勝てるかどうかが、ゲーム業界で生き残るうえで大事な事なのだ。宮路氏は今回の発言を通して、こう言いたかったのではないだろうか。

競争が激化するゲーム業界で踏み止まっていくためには、甘い誘惑を断ち、目先の売上確保に奔走するのではなく、自分達が最も得意とするジャンルのゲームソフトを出す。これが、今あらゆるソフトメーカーに求められているものなのだろう。有名な言葉に「間口を狭くしなさい、奥行きを広くしなさい」というものがあるが、宮路氏の主張を端的にまとめるとこの一文に辿りつく。この言葉が、ソフトメーカーの標語として使われる日がやって来るのはそう遠くないかもしれない。

(おわり)

(ライター:菅井)

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