【コラム】「仮想現実と現実の線引き」
●「真の狙い」

ゲームの中の世界は仮想現実(ヴァーチャル)で、私達の住む世界は現実(リアル)。そんなことは誰もが知っている周知の事実だし、今さらあらためて定義する必要もない。しかし、実際に両者を区別することは、言葉のように容易ではない。少なからず影響を与え合っているからだ。多くの人がコンピューター相手にゲームを楽しんでいた時には、この影響というのは大した問題にはならなかった。せいぜい、「宿題が終わってない」だの、「仕事が手につかない」だの、「目が悪くなる」だの、その程度のことだった。しかし、ネットゲームというものの登場で事態は一変した。特に多人数参加型と呼ばれるネットゲーム、例えばUO(ウルティマオンライン)やEQ(エバークエスト)などといったものでは、深刻な問題になった。それが何なのかというと、ゲーム内のアイテムや家などの金銭トレードだ。ここで言う金銭とは、もちろんゲーム内のお金ではなく、現実のお金である。しかも意外な大金が動く場合もあるのだ。具体的に言えば、UOでは、ゲーム内での城が数十万円単位で取引きされていることさえある。EQも然り。個人間で目立たずに行われているならまだしも、yahooやe-beyといった大型オークションサイトでも堂々と売られている。このことを重く見たVERANT社は、現金取引の禁止を利用規約に盛り込んだ。おかげでEQの現金取引はあまり見かけなくなった。もちろん、アンダーグラウンドBBSなどでは、売買が依然行われているが、それは何にでも言えることなので仕方がない。とりあえず公では禁止されたということだ。

一方、UOについては現在も公式に禁止というコメントは出されていない。いわば黙認といったところか。この背景には、仮想現実(ヴァーチャル)と現実(リアル)の線引きの難しさがある。ゲームの開発元としては、ゲームのデータが現金で売買されるということは、ある意味でうれしいことかもしれない。なぜなら、それはゲームがそれだけ魅力的であるという証明でもあるからだ。また、たとえ規約に明記したとしてもあまり効果があがらないということもある。実際、現金トレードが行われたとして、それを摘発するのは不可能に近い。ゲーム内では単なるアイテムや家の譲渡でしかないのだ。その見返りに、現金や物が支払われたとしても、それを誰が調査して、因果関係を立証するのか。また、それにかかるコストが果たして一企業に支払えるのか。どう考えても現実的ではない。こういった点から、結局のところユーザーのモラルに委ねるしかないのが実情だ。

ここで誤解しないでもらいたいのは、現金取引が決してイコール悪なわけではないということだ。ヴァーチャル内で満足感を得る為に現実のお金を払う。良く考えてみれば、ゲームセンターだってそうではないか。ヴァーチャルの世界で遊ぶ為にお金を払っている。決して、お金を払ったからといって目に見える物がもらえるわけではない。ゲームをして楽しかったという満足感をお金で買っているわけだ。コンサートやライブ、映画だってそうだ。貰える物はない。こうした満足感にお金を払うという行為は、ごく自然なことなのだ。ただ、ネットゲームにおいて、こういうことが当たり前のように横行してしまうと、世界観やゲームのバランスを潰すことにもなりかねない。現金が絡んでくる為、興ざめしたといった声も良く聞く。仮想現実と現実の間に流通が起こるのは当然だが、ゲームを造る側にも、また遊ぶ側にも、その間の絶妙なバランス感覚が求められることになる。

(おわり)

(ライター:佐々木)

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