【コラム】「“バイオ”GCへ移籍 ~開発者側の論理~」Part2
「時間が足りない」

カプコンにバイオシリーズをGCに移籍させ、PS2への供給を断念させた理由は、バイオの生みの親である三上真司ディレクターにある。三上氏はバイオの供給先にPS2ではなく、GCを選択した訳を次のように述べている。『グラフィック偏重の時代で、グラフィック重視のゲームがあっても良いと思うが、そればかりではいけないと思う。個人的には触って楽しいゲームを作らなければならないと思い、そのためのマシンとして制作された任天堂に共感したので、ゲームキューブを選択した』(GAME Watch 「カプコン“バイオハザード”シリーズ、ゲームキューブで独占供給」 2001年9月13日)。

三上氏の言うグラフィック偏重の時代を招いたのはPS2であろう。PS2は高い描画能力を持っているが故に、ゲームのグラフィックを制作するためには大変な労力を必要とするゲーム機だ。そのため、ゲーム開発期間が長くなってしまう弊害が生まれた。SCEの岡本伸一氏は『PSでは開発に12カ月から18カ月かかっていました。PS2では18カ月から24カ月かかっています』(Mainichi INTERACTIVE キーマン・インタビュー 「SCE常務兼CTO岡本伸一氏」 2001年6月)と述べ、PS2では明らかにゲーム開発期間が長くなっていると答えている。PS2とは対照的に、バイオを独占供給するGCはゲームを作りやすいゲーム機だ。任天堂の浅田篤副社長は『PS2では、絵をゲームのように動かすまで1~3カ月かかるが、GCはすぐにできる』(Mainichi INTERACTIVE キーマン・インタビュー 「任天堂副社長浅田篤氏」 2001年)と言い、その短さを強調している。

三上氏がバイオシリーズをGCに独占的に供給しようと考えた訳はここにある。つまり、GC向けにゲームを作ると、ゲームの制作期間がPS2より短期間ですんでしまうのだ。ここに、三上氏が大きな魅力を感じたのである。

三上氏が時間に拘る理由は、彼が置かれている環境にある。『僕は部長職もあるし、10本近いゲームを管理しているから、平日は開発ができない。だから、僕のチームだけ日曜出勤で作っているんですよ』(P7 週刊宝島No.496 2001 3.19 宝島社)。要するに、三上氏は一方では数多くのゲームを管理しながら、一方では休日にゲームを制作するという二足のワラジを履かざるをえない程、多忙な状況にあるのだ。そのために、彼が作るバイオシリーズは制作期間が短くてすむGCに独占的に供給される事になったのである。これは逆に言うと、三上氏が余りに多忙なため、彼が作るバイオシリーズはGCでしか作れないということでもあるのだ。

三上氏が語った『少なくとも自分が作るバイオはPS2で出すことはない』(Mainichi INTERACTIVE ゲームクエスト 「バイオシリーズ、GC移籍余波」 2001年9月14日)との言葉の背景には、PS2では“時間”の問題でバイオシリーズを作れない三上氏の個人的な理由が存在していたのである。

(つづく)

(ライター:菅井)

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