【コラム】「拡大路線へ~“飽き”とのあくなき戦い~」Part4
「飽き」

ゲーム業界では不振のときこそ、拡大路線を執る必要がある。そうしなければ、企業の存亡に関わる。これが、現在のゲームソフトメーカーの活発な提携を促している一因である。でも、どうして不振の時にこそ拡大路線を執らなければならないのであろうか。なぜ、「守り」の体制は業績を悪化させてしまうのだろうか。その答えはユーザーの「飽き」にある。

どんなに面白いソフトでも、それをずっと遊び続けられるユーザーは殆どいない。皆、必ずそのゲームに対して飽きがくる。面白いソフトであればあるほど、遊び続けるたびに、「飽き」の感情が次第に出てくる。確かに「飽き」が来ないソフトもあるだろうが、やりこむうちに新鮮味はなくなる。慣れが出てくる。こうなってくると、最初の面白さは確実になくなっていく。

こうしたことは、何もゲームソフトに限ったことではないが、ゲームソフトにはこの傾向が強い。それは、ゲームは遊びだからだ。遊びは面白いものでなければ、やる人はいない。遊びは義務ではない以上、面白くないと感じている遊びは誰もやらないのだ。むしろ、やりたくないと表現したほうが良いのかもしれない。

むかし、タイトーの「スペースインベーダー」というゲームが日本中で大ヒットしたことがある。まさに、日本中がこのゲームの虜になっていた時代があった。あまりに人気になりすぎて『日本じゅうから百円玉が払底し、日銀から各ゲーム会社に百円玉の使用状況に対する調査が入ったほどであった。』(「ゲーム戦争」 著大下英治 光文社文庫 P124 1996)というのであるから、その凄さが実感できる。しかし、このインベーダーブームも突如として消え失せてしまう。喫茶店やゲームセンターをはじめとして、さまざまなところに置かれ、驚異的な集客力を誇り、一日に一台で数百回も遊ばれるほどのブームであったのに、ぱたっと止まってしまったのだ。これこそ、ユーザーの「飽き」であろう。

ユーザーに飽きられたゲームはもう売れることはない。インベーダーの時も、インベーダーを売っていた販売会社などは売上が急減してしまった。このような事態を打開し、再び売上を上げるには、ユーザーが面白いと思う新しいゲームが絶対に必要になる。だから、ゲームソフトメーカーは経営不振になると拡大路線に走るのだ。

もし、あるゲームソフトメーカーが、業績不振のために、売れないゲームを抱えつつ、新しいゲームの開発に力を入れない「守り」の姿勢を執ったらどうなるであろう。おそらく、そのメーカーの売上は伸びることはなく、確実にゼロに向かって減少していくだろう。なぜなら、ユーザーは飽きたゲームには、もうお金を支払うことはなくなるからだ。そうならないために、ゲームソフトメーカーは「攻め」の姿勢を強めるのである。

ゲームソフトは必ず飽きられる。それは宿命と言っても良いかもしれない。その宿命に対して、ゲームソフトメーカーが執れる対抗策は「あきらめて次のソフトを出す」しかない。出さなければ、企業として存続していくことすら危うくなる。つまり、ゲームソフトメーカーは常にユーザーの「飽き」と戦っていかなければならないのだ。その戦いに勝利できたソフトメーカーだけがゲーム業界に存在することが許されるのである。

いまは、その戦いに各ゲームソフトメーカーが臨んでいるという状況であろう。各ゲームソフトメーカーには困難な戦いになるが、それによって今後、世に送り出されるゲームが面白くなることをユーザーは望んでいるのだ。

ユーザーのため、ゲーム業界のため、それに自分たちの為に、ゲームソフトメーカーのこれからの奮起に大いに期待したい。

(おわり)

(ライター:菅井)

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