【コラム】「ナムコ・エニックス・スクウェア提携」Part5
「相互監視」

今回の提携で既に成立しているかもしれない効果は「相互監視」ではないだろうか。最近のゲームソフトメーカーの業績ははっきり言って良くない。業績不振の煽りは、真っ先に株主が受けるのだが、各創業者は大株主であるがゆえに、その影響は大きい。そうした背景と、このままではいけないという将来への危機感があったために、今回の株式持合が行われたのではないだろうか。

株式会社である以上、会社は株主に対して経営状態を説明する責任がある。今回のゲーム三社も株式会社であるから、同様に株主に対して説明責任がある。そのために株主になると、その会社がどんな事をやろうとしているのかが分かるのだ。各創業者は、今回の持合によって、株主になるのであるから当然それを知る事ができる。さらに、各創業者は他の会社にとっては部外者にあたるため、第三者の立場から客観的に経営を判断する事が出来る。例えば、ある会社が収益の増加を目指し、新たにアミューズメント施設を新設したいと言ったとしよう。その時、株主である他の創業者は、既存のアミューズメント施設の不振を理由に新設を反対するかもしれないし、逆に収益が上がる施設にするために様々なアドバイスをするかもしれない。

彼らが狙っていた効果は、まさにこれではないだろうか。客観的立場から各企業の経営をチェックし、変な所があれば改善させたり、良い点があれば更に向上させる。三社の業績を恒常的に良くさせるために、各創業者は各企業を相互にチェックするという株式の持合体制を作る決断したと考えられるのだ。

提携会見で、各社の経営陣が「何も決まっていない」と連発したのは、まず最初に、各社の経営を相互に監視する体制を構築しようとしたからではないか。そのうえで、もっと包括的な提携の話も出たために、とりあえず「提携」という器だけを作り上げたのではないだろうか。

今、例としてあげたアミューズメント施設の新設に際して、各創業者がアドバイスを送るだろうと言ったが、彼らは自らのアドバイスだけではなく、自らの会社の技術をも複合させれば、もっと良くなるのでないかと考えたための提携だったのだ。

もし、今後、何処かの会社で先程の例のように「アミューズメント施設の新設」の話が出た時には、各社が素早く協力できる体制を作り上げるために「提携」だけを先に結んでしまったのだ。だからこそ、会見の内容は、ほぼ無いに等しいものになってしまったのである。

将来、この三社が結んだ提携は面白いものを生み出す可能性がある。特に、スクウェアの大型事業であるPOLは注目に値するだろう。今のままでは、採算割れするだろうと言われている事業に対して、ナムコ中村会長兼社長・エニックス福嶋会長はどのようなアドバイスをし、どのような協力体制を自社に指示するのであろうか。おそらく、ナムコ・エニックスはPOLに素晴らしいコンテンツを供給するだろう。逆にそうしなければ、提携した意味はなくなってしまう。POLに対して何もしないのであれば、もともと提携などせずに、株の持ち合いだけに留めておけば良いはずだ。提携した以上は何かをするだろう。ただ、それが、何であるかはまだ分からない。スクウェアの今後の目玉の一つであるPOLに中途半端なものは出さないであろう。POLを見れば、三社の提携がうまく行くのか、或いはそうでは無いものになるのかが分かるような気がしてならない。

(おわり)

(ライター:菅井)

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