【コラム】「資本力優位の時代 ~変わる業界地図~」Part4
「なぜ、他業種なのか」

ゲーム業界で、重要な地位を築きつつある資本力。その分だけ資本のある企業にとって、ゲーム市場での収益拡大を狙うチャンスが増えてきていると言える。だが、そのような資本力を持つ企業は何も他業種だけではない。ゲーム業界の中にも、十分な資本を有する企業は多々ある。これを機に、傘下のソフトメーカーを増やすこともできるはずだ。それなのになぜ、ソフトメーカー同士での資本提携の話があまり出てこないのか。

豊富な現預金を持つ大手ソフトメーカーのひとつにカプコンがある。安定的に200~300億円程度の現預金を保有する同社には、過去に金融機関より『同業他社の買収は考えていませんか』(注11)と、しばしば尋ねられたという。しかし、同社の大島副社長は『あくまでも開発資金などとして余分にお金を持っておきたいだけ』(同)と述べ、同業他社の買収を否定している。カプコンが買収を好まない背景には「ゲームビジネス特有のリスク」と「必要性」がある。

ゲームビジネスは常に心変わりしやすいユーザーの好みによって、収益が大きく変動する。そのリスクの緩衝材となってくれるのが、豊富な資金である。大手とはいえ、ゲームビジネスのリスクから逃れることはできない。大企業であるカプコンであっても、いつ収益が激減する状態に陥るか分からないのだ。だからこそ、カプコンは数百億円もの現金を保有しながら積極的な買収戦略をとらないのである。

同様に買収の必要性の問題もある。前に取り上げたように、いまセガやカプコンなどでは開発本数の絞り込みを行い、なるべく開発費を削減しようと努力しているのだ。そんな時に、ソフトメーカーの買収を行うと、再びグループ全体の開発本数と開発費が増大してしまう可能性が大いにある。ソフトが売れない時代だからこそ、買収の必要性を感じないのだ。

カプコン以外にも多額の現預金を保有している企業は数多くある。一例を挙げると、2003年12月末時点でナムコが約300億円、コナミ約840億円、タイトー約160億円、同年9月末の時点でスクウェア・エニックスが約560億円の現預金を保有している。いずれのソフトメーカーも資本力の弱い同業他社を買収する力を持っているが、だからと言って積極的に行動することはない。例外的にコナミが、ハドソンなどのソフトメーカー数社を傘下に治めたぐらいである。

しかし、買収に意欲的なコナミでさえ実際の買収はわずかしかないのだ。そう考えると、ソフトメーカーによる同業他社の買収は、これから先もあまり見られないのではないだろうか。

ここ数年、ゲーム業界では『十社程度の大手メーカーが無数の中小プロダクションを配下に置く形になるのではないか』(注12)といった業界再編の予測が数多くあった。しかし、こうした大手ソフトメーカーによる業界再編はおそらく起きはしないだろう。予測の通り、再編があるとするならば、それはゲーム市場の魅力に惹かれた他業種からの参入組がその中心になると思われる。

注11…2002年11月29日 日経金融新聞
注12…2002年1月4日 日経産業新聞

(おわり)

(ライター:菅井)

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