「老舗の逆襲 ~新携帯ゲーム機の狙い~」Part1
「異質なゲーム」

ゲーム市場で不動の地位を築きつつあるプレイステーション2(PS2)。この強大なハードに普及台数の面でかなりの差を付けられたのがゲームキューブ(GC)とXboxである。発売時期がPS2より大きく遅れてしまったため、両ハードはPS2の後塵を拝している。2003年9月の時点でのPS2の累計出荷台数が6000万台に上るのに対して、GCはわずか1045万台、Xboxの数字は同年6月までの累計販売台数であるが940万台に留まっている。この出荷・販売台数だけを比較すれば、ゲーム市場でのPS2の独走は揺るぎないものであると言えるだろう。

このような事態を少しでも打開するべく、二番手グループに甘んじていた任天堂は最も需要が高まる年末商戦に向けて値下げを敢行した。同社の岩田社長が述べているように『(任天堂の)年間収益のうち約半分を年末商戦で稼ぎ出しており、十月から十二月の結果が一年間の業績を左右する』(注1)ため、いち早く10月の時点で価格の引き下げに動いたのだ。GCのそれに呼応してソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)とマイクロソフト(MS)は11月にPS2とXboxの販売価格を引き下げると相次いで発表した。

ゲーム機の価格競争の口火を切った形になった任天堂だが、一足早く値下げしたためか、その効果は大きかったようだ。2003年9月中間期の決算発表の際に同社の森専務は『米国では値下げ前に比べ販売が4倍に、欧州では10倍に拡大している』(注2)と語っている。後に、600万台としていた今期の販売目標には届かず、実際には500万台に留まる可能性を示唆したが、中間期まででわずか89万台しか販売できなかったのだから、大いに健闘したと言える。

このように『上期は不振だった』(注3)はずのGCの販売は徐々に持ち直しつつある。一方、ゲームボーイアドバンス(GBA)は携帯ゲーム機市場での独走状態を依然として続けている。GCの善戦とGBAの独走を見ると、2003年の年末商戦における勝者は任天堂であったと言えるのかもしれない。

そんな中、任天堂は第三のゲーム機「ニンテンドー・ディーエス」(ニンテンドー・DS)を年末に発売するという。携帯ゲーム機として販売されるニンテンドー・DSは、任天堂がかねてより言ってきた『既存のゲーム機とは異なる発想の“新しいゲーム”』(注4)のことである。任天堂は同機をGCやGBAに続く、第三の収益源として育て上げるとしている。

しかし、ここで疑問が生じる。それは、なぜ任天堂が新たな携帯ゲーム機を発売しなければならないのか、ということである。2001年に発売されたGBAの販売台数はすでに4000万台を超えるほどであり、任天堂の『利益のかなりの部分はアドバンス事業』(同)が稼ぎ出している。それにも関わらず、なぜ今新しい携帯ゲーム機が必要になったのであろうか。

今回は、任天堂が「全く新しい携帯ゲーム機」を発売する理由について考えてみることにしたい。


注1…2003年11月14日 日経産業新聞 カッコ内筆者
注2…『任天堂:値下げでゲーム機販売計画据え置き、今期営業益15%増』 2003年11月13日
注3…2003年12月12日 日本経済新聞夕刊
注4…2003年11月14日 日本経済新聞

参考文献…『任天堂 平成16年3月期中間決算短信』『マイクロソフト 2003年第4四半期決算』

(つづく)

(ライター:菅井)

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