「リストラ ~ソフトメーカーの組織改革~」Part3
「開発重視の決断」

北米での想定外の販売不振により、家庭用ゲームソフト部門が大きな赤字に転落したセガは、他のソフトメーカーと同じように組織改革の必要性に迫られた。だが、セガはカプコンとは異なる手法を用いて収益性の改善を目指している。異なる手法とは「開発への権限集中」である。

カプコンは、開発部門への権限集中が収益性の低下をもたらしたと判断し、営業部門重視の改革に乗り出した。現在の体制を続けると『不採算と分かっても資金を投じて損失を出す弊害』(注6)の発生が避けられないからだ。しかし、カプコンと同じく収益性の向上を目指しているはずのセガは、全く逆の姿勢を打ち出した。開発部門のトップであり、セガの新社長となった小口氏はこう述べる。

『現場をまとめられるという自信はある。クリエーター仲間からは以前から社長やってほしいと言われてたしね。早速、一緒に経営戦略を練り始めたよ。…社長直轄の開発本部を置いて、そこで何を作り、どう売るかを決める。もうからないモノは作らない。…責任は僕が負う』(注7)。開発出身である新社長と開発部門が経営戦略を練り、社長直轄の開発本部が製作・販売を取り仕切る。この言葉を聞く限り、開発部門に任せておけば収益改善が出来るのだ、と宣言しているように聞こえる。

セガがこうした選択をした理由のひとつには、依然「良いものを作れば売れる」という“市場創造型”の思考をしていることが挙げられる。確かにユーザーに欲しいと思わせるゲームを開発すれば売れるという“市場創造型”の考えは、全てのソフトメーカーにある。ソフトメーカーはゼロから一大ゲーム市場を作り上げてきたため、自然と“市場創造型”の思考が身に付いている。

さらにセガの場合は、数年前まではハードメーカーであったために、他のソフトメーカーよりかなり強い“市場創造型”の思考をしていたと考えられる。それがいまでも変わらずに、セガ社内に色濃く残っているのだろう。だからこそ、「良いゲーム(売れるゲーム)」を作るために開発重視の改革を行ったのではないだろうか。

加えて、このような改革を実際に可能にさせたが財務体質の大きな改善だ。ドリームキャストからの撤退時に企業の存続を危ぶむ声まであったセガの財務は、ここ数年で大きく改善した。有利子負債総額は2000年度の1200億円から2年で250億円減少し、保有する現預金は同時期の約370億円からほぼ3倍の1000億円と大幅に増加した。財務改革はまだ途中ではあるが、再建が順調に進んでいることは「市場創造型の継続」を現実的に下支えしたと言える。なぜなら財務に不安があれば従来路線の踏襲である“市場創造型”の改革を実施することは困難だからだ。

セガが開発重視の組織改革を実施した背景には、ハードメーカーであった名残と財務改革の成果があったためだと言えよう。

注6…2003年5月30日 日経産業新聞
注7…2003年5月23日 日経産業新聞
参考…「セガ平成13・14・15年3月期決算短信」

(つづく)

(ライター:菅井)

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