「シリーズ化を考える ~続編歓迎論~」Part2
「続編が生み出すもの」

続編の氾濫がゲーム業界をマンネリ化させ、ソフト市場を冷え込ませた原因のひとつであるという批判は多い。確かに、続編が数多く目に付くと、ついそれが原因だと考えたくなるかもしれない。だからと言って、続編をそんなに簡単に否定してしまって良いものだろうか。続編の有用性はまったくないのであろうか。

業界全体が縮小傾向にある時は、新作ソフトを開発・販売するリスクはより大きくなる。右肩上がりの成長を続けている時であれば、新作が抱えているリスクはある程度他のソフトの売上でカバーできただろう。しかし、今は全体の売上が下落している。このような環境下では新作のリスクをカバーできるだけの“売れるソフト”は徐々に減ってきている。そうなると、ソフトメーカーは“売れないリスク”がある新作を、無理に開発しようとは考えないだろう。

そんな時期に新作を開発・販売するためには、別な方法でリスクを分散しなければならない。そのひとつとして、最初からシリーズ化までを視野に入れた販売戦略がある。つまり、第一作目の販売成績がたとえ赤字であっても、続編である二作目・三作目以降のソフトで黒字を生み出し、それを以って前作の赤字を埋め、最終的にシリーズ全体で利益を出すやり方だ。

このような方法であれば、新作が抱えるリスクを続編のソフトにも分散できるし、なによりその次回作は全くの新作ではないのだから、ある程度の販売本数が見込むことができる。あとは、見込み通りの販売本数で利益が出るように開発費を調整すればよい。

中堅のソフトメーカーであるフロム・ソフトウェアは続編を重視する戦略をとっている。同社の主力ソフト「アーマード・コア」シリーズは、第一作目は残念ながら採算割れという結果に終わったが、続編である二作目・三作目がヒットし、今では同社の主力ソフトにまで成長した。同社の神社長は『続編など次につなげ、全体として成功できるかが重要』(注9)と話し、シリーズ全体で利益を取ることの大切さを述べている。

新作を言わば布石として、次回作以降の展開に期待するというやり方は、新作に課せられるハードルを低くすることができる。新作は元々、失敗する可能性が高いのだから、その失敗を次に活かすためにシリーズ化が求められているのだ。

『過去のヒットシリーズの続編が多いのは、ゲーム制作会社の“保守性”の反映という面もありそうだ』(注10)。リスクを巧みに避ける経営方針を外から批判するのはたやすい。だが、企業である以上利益を確保しなければならない。不況時に新作ソフトを生み出すためには、他のソフトに頼らない手法でリスクを軽減するしかないのだ。そのひとつとして存在するのが続編を前提とした販売戦略なのだ。続編を批判するのは良いが、その続編が新作を生み出す支えになっていることも忘れてはならない。続編は決して安易な利益確保の手段ではないのだ。

(注9…日経産業新聞 2002年10月22日)
(注10…日経産業新聞 2002年11月7日)

(つづく)

(ライター:菅井)

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