「強い危機感 ~巨大ソフトメーカーの誕生~」Part1
「合併」

2002年11月、スクウェアとエニックスが突如として合併を発表した。合併に伴ってスクウェアは解散、エニックスを存続会社とした新会社スクウェア・エニックスが誕生することになった。2大ソフトメーカーだった両社は2003年4月1日を以って、一つの巨大ソフトメーカーとなる。

この合併により、両社が持つ出版事業の統合、ゲームソフトの直販などを行うことで『年間45億円程度の売上増加効果が見込まれる』(注1)という。ただ、出版事業などの統合・再編によって合併効果はすぐにでも現れるだろうが、それが合併の大きな目的ではない。スクウェアの和田社長は『イノベーションを起こすための体質、体力をどのように作っていくかというのがこの合併の趣旨であります』(注2)と述べている以上、表向きには革新的なゲームを生み出すための合併だと言えよう。しかし、それなのに和田社長は『相互の開発体制について手を加えることは当分ないと思います』(同)とも言う。これには少し疑問が残る。

両社が独自に開発を続けるのであれば、なにも合併する必要はない。形式上一緒になっただけで、何も改革をされていない開発部門がいきなり革新的なゲームソフトを作れるのであるなら何も心配はない。だが、そんな漠然としたやり方で、新しいものが出来ると期待するほうに無理がある。やはり、革新的なソフトを作るためには、それなりの土台が要るだろう。しかし、「手を加えない」と言っているのだから、その土台作りは積極的に行われないと考えざるを得ない。

そうなると、この度の合併の理由である「イノベーションを起こしていくため」は単に表向きの目的に過ぎないと言えるだろう。では、本来の合併の趣旨とは何か。会見で和田社長は『ゲーム業界の環境が激変するという危機意識が共通していた』(注3)ことが両社に合併を決断させた理由であるとも述べているが、この言葉こそが実質的な目的だったのではないだろうか。今後、ゲーム業界は激変するかもしれないという危機意識を共有していたからこそ、生き残りのために「スクウェア・エニックス」を誕生させたと考えられるのだ。

『エニックスもスクウェアも、現在は業績が最良の状態』(注4)。和田社長は現在の両社の状態をこのように評している。だが、そんな時期であるにも関わらず『ゲーム市場の環境の変化を見越して勝ち残っていくために、あえて今(合併を)やる』(注5)と両社の首脳に決断させた「強烈な危機意識」は一体どこから来ているのか。

今回は、巨大ソフトメーカー誕生させた危機意識の源泉を辿ってみることにしたい。

(注1)…「スクウェア、エニックス合併へ ゲーム業界激変に強者連合で対応(6)」 2002年11月26日 ブルームバーグ
(注2)…「スクウェア・エニックス誕生! ニュースその3」 ファミ通.com 2002年11月26日
(注3)…「スクウェア、エニックス:来年4月に合併 “危機意識が共通”(4)」 2002年11月26日 ブルームバーグ
(注4)…「“新しいイノベーションを起こす最短距離” 和田氏」 GameSpotJapan 2002年11月26日
(注5)…日経流通新聞MJ 2002年11月28日

(つづく)

(ライター:菅井)

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