「FF11は失敗か成功か ~再考の必要性~」Part2
「失敗の背景」

FF11が失敗だと判断されている最大の理由は、「利益」が出ないソフトだからだろう。スクウェアが発表しているFF11の採算ラインは約20万人であるが、現状の会員数はその6割程度でしかない。同社からすると、早い時期(今年夏頃)から採算ラインを突破するだろうと予測していたらしく、今期2003年3月期ではオンラインゲーム事業で4億円の営業利益を出すと見込んでいた。しかし現状の水準であれば、それは厳しいと言わざるを得ない。採算割れが発生した直接の理由は、12万人の会員数でも利益が生まれるような体制を構築していなかったことにある。では、どうして少ない会員数でも収益を確保できる事業体制を築かなかったのか。その理由は、スクウェアが「ファイナルファンタジー」シリーズを抱えているからである。

FFシリーズはゲーム業界を代表するソフトだ。累計出荷本数が4000万本を超えるほどの優良コンテンツはスクウェアが生み出したものだ。このFFシリーズのお陰でスクウェアは成長できたと言っても過言ではない。しかし、このFFシリーズを抱えているからこそFF11での失敗に繋がったのだとも言える。なぜなら、FFという強固なブランドがあるためにスクウェアの経営が安定しているからである。

FFシリーズはその第一作が1987年に世に出てからすでに15年ほど経っている。新作を発売するごとに大ヒットになるソフトを抱えていれば、よっぽどの失敗をやらかさない限り、経営は安定する。逆に、そうならなければ経営者として失格だろう。事実、昨年の映画事業の失敗による赤字を除くと多くの年度で黒字を達成してきている。

この優良コンテンツがあれば、仮にFF11で計画通りの収益が見込めずに採算割れを起こしたとしても、社全体としてはFFシリーズの新作が販売され続ける限り、経営の根幹を揺るがす事態にはならない。4億円の黒字予想から、実際はまったく逆の4億円の赤字になったとしてもそれほど大問題ではない。そもそもスクウェアはFF11を長期的な視点で見ているのだ。『4~5年かけてじっくり市場を育てたい』(Mainichi INTERACTIVE ゲームクエスト 『“FF11は長期的視点で”スクウェア・和田社長』 2002年5月1日)と言っているぐらいだ。

この余裕はFFシリーズに守られているからこそ言える言葉だ。だが、その余裕は失敗の遠因でもある。FFシリーズという大黒柱があるからこそ、同社はFF11の収益にあまり敏感にならなくても良いのである。そんな状況であれば、オンライン事業に関して多少ドンブリ勘定になってしまうのも仕方が無い。スクウェアが発表した今期の業績予想では同事業が黒字化すると言っているが、必ずしも黒字にしなくても良い。予想はあくまで予想なのだ。もし黒字化を達成できなくても株主・投資家に謝罪し、近い将来大きな収入源になると釈明すれば良いだけの話である。同社にとって今期のFF11の黒字化は義務ではなく、おそらく努力目標なのだから。

(つづく)

(ライター:菅井)

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