「Xboxの現状 ~普及への長期戦略~」Part3
「長期戦略」

MSの対応に機敏さが欠けていたからこそ、これまでXboxは苦戦を強いられている。だが、MSはどうして迅速に行動しないのだろうか。もちろん、外部の人間からは窺い知れない社内的な問題等が原因となっていることも十分にありえるが、ここではかなり肯定的に考えたい。つまり、MSの行動は“機敏さに欠ける”わけではなく、“手堅い”ものであると。その理由は、わずか20年程度で世界最大のソフトメーカーへと急成長したMSの過去の実績を考慮したからに他ならない。

スピードが問われ、迅速に行動できることが尊ばれるゲーム業界で、MSはひとり慎重に事を運んでいる。先行者有利だと指摘される業界ではMSのこれまでの行動は緩慢と言われても仕方が無い。だが、MSが緩慢なのは、Xboxの成功を短期間で達成しようとは考えずに長い時間をかけて普及させようとしているからではないか。それはXboxがオンラインゲームに非常に強いハードであることと無関係ではないだろう。

各種調査によれば、オンラインゲーム市場は2005年前後までに一大市場になっているという。それを信じるのであれば、オンラインゲームの将来はとても明るいものになる。だが、惜しむらくはそれが数年後ということだ。『ネットゲームの本格的な普及には、あと三年は必要だろう』(2002年2月4日 日本経済新聞)とカプコン辻本社長も予想をする。オンラインゲームは一大市場になるが、それが本当に実現するのは数年先。となるとMSが慎重に行動する理由もおぼろげながら見えてくる。

オンラインゲームがあってこそXboxの魅力が際立つが、同市場が小さければ小さいほど同機の良さがユーザーに伝わらず、普及に長い時間を要するのは明らかである。それは日本市場の惨状を見れば理解できよう。ならば、いま急いで手を打った所でXboxは急に売れるようになるだろうか。それよりも、今はあえて機敏に動かずに相手の戦略をじっくり研究し、将来訪れるであろうオンラインゲーム全盛期にXboxが活躍できるような手を打てるように時間をかけて準備した方が良い、とMSが考えたとしてもおかしくは無いだろう。物事には先行者有利の局面もあれば、後発が有利になる場面もある。後発の有利さを、オンラインゲーム全盛期で遺憾なく発揮するためには今は一歩遅れる必要があるのだ。

こうしたMSの慎重な戦略を可能にしているのが、Xboxの主要購買層の年齢だ。Xboxの対象年齢はおもに20代前後の若年層をターゲットにしている。この層は10代前半のような低年齢層と違ってゲーム機を複数保有できる購買力を容易に持っている。『ゲーム機は冷蔵庫のように壊れなければ2台目を買わないというものではない』(2002年5月31日 毎日新聞)といった発言は20代前後の若年層にもっとも当てはまる。面白いゲームがあれば、すでにゲーム機を持っていたとしても若年層ユーザーはお金を出すのだ。

ならば、ゲーム業界にトップを走る先行者がいたとしても、彼らが必ずしも絶対的に有利な立場にあるとは言えなくなってくる。購買力があるユーザーをターゲットにすることで、後発組でも先行者を逆転できる可能性があるのだ。MSはこうしたことも踏まえて、十分逆転できると判断したからこそ“慎重な戦略”を実行しているのだろう。オンラインゲーム市場の未発達と主要ユーザー層の購買力が、MSの行動原理を作り出したのである。

(つづく)

(ライター:菅井)

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