【コラム】「カードeリーダーに込められた期待 ファミコン市場の復活」Part3
「任天堂の狙い」

「カードeリーダー」によってファミコン市場を復活させようとしている任天堂の狙いはどこにあるのか。まず、任天堂は、ファミコン市場を再び登場させる事によって、「カードeリーダー」というシステム自体を広く定着させようとしているのではないだろうか。もちろん、「カードeリーダー」が登場した経緯を考えると、ポケモンのために作られた周辺機器と言えるのだから、ポケモンに「カードeリーダー」の普及の牽引役を務めてもらうのは、当然の成り行きではある。だが、それだけでは、ポケモンユーザー以外に広がっていくことはあまり望めないし、単なる「ポケモンユーザーの専用端末」として扱われ、それ以上の存在になるのは難しい。だから、「カードeリーダー」をより多くのユーザーに利用してもらうため、そして「カードeリーダー」の可能性を広げるためにも利用層を選ばないファミコンソフトを用いたのではないか。では、任天堂は「カードeリーダー」を定着させるためだけにファミコン市場を復活させようとしているのであろうか。

任天堂がファミコン市場に再びを注目したのには、もう一つの狙いがあるからだ。それは、『ゲームから離れていった層を引き戻すこと』(2001年8月24日 日経産業新聞)である。この言葉は、任天堂の浅田副社長がマスコミのインタビューに対し、ゲームキューブ(GC)の開発方針を語ったときのものである。さらに、浅田氏はインタビューの中で現状のゲーム業界を『ゲームソフトの売上高は減少しており、既存のゲームに飽きたユーザーが次々に離れている』(同)と分析し、ゲームユーザーのゲーム離れを防ぎつつ、離れていったユーザーを再び引き戻すためにGCを開発したと話す。

昨今のゲーム業界の不況とも言える事態に人一倍、危機感を抱いているのは任天堂である。その危機を打開するためには、ゲームから遠ざかっていたユーザー達の支持を再び集めなければならない。だが、任天堂のこの目標は、何もGCにだけに課せられた使命ではないだろう。任天堂全体の目標でもあるはずだ。彼らの興味をもう一度ゲームに惹きつける方法は色々あるが、そのひとつとして昔、彼らが楽しんだゲームを用いるやり方があるだろう。つまり、ファミコンの復活だ。過去にゲームユーザーで、今はそうではなくなった層の多くはファミコンで遊んでいた人達だと考えられる。なぜなら、ファミコンと言えば家庭用ゲーム機の代名詞ともなったハードであり、それほどまでに有名なハードであれば過去にゲームユーザーであった人達の殆どが、ファミコンを経験しているはずだからである。その彼らが“懐かしさ”から今一度、あのゲームの楽しさを味わいたいと思い、「カードeリーダー」に手を出したとしても不思議では無い。もし、そうなれば任天堂の狙いは大成功であると言えるだろう。

登場した直後は、ポケモンユーザーのための端末に過ぎないと思われていたが、アイディアひとつでその役割を大きく変える事になった「カードeリーダー」。この何とも面白い可能性を秘めた商品が、果たして『ゲームに飽きたユーザー』(同)を取り戻し、ゲーム業界の危機を救える事ができるのであろうか。一般的には、今のゲーム業界の危機は、ネットワークゲームが救うのではないかと見られている。しかし、ネットなどを使わずに、カードというアナログ感満点の商品で、ゲーム業界を救おうとする所がいかにも任天堂らしい。すでに機能しなくなっていた数世代前のハードを、GBAという最新のハード上に完全に復活させて、ゲーム業界を救おうとする任天堂の前代未聞の挑戦は、これから始まろうとしている。

(おわり)

(ライター:菅井)

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