【コラム】「“バイオ”GCへ移籍 ~開発者側の論理~」Part4
「忍び寄る危機」

バイオシリーズがPS2から去った原因は主としてPS2にある。三上氏とカプコンは開発期間の長さを嫌がった。三上氏はできるだけ時間をかけずに、カプコンはできるだけ開発費をかけずにゲームを作りたかったが、PS2という高性能ゲーム機でそれを実現するのはとても難しいことだった。だから、彼らはGCでバイオシリーズを供給すると決めたのだ。

バイオシリーズを受け入れたGCは、これによりソフト開発の容易さをソフトメーカーに広くアピールすることができた。ソフトメーカー側にとっては頭痛の種であった増大する開発費をGCで開発する事で抑制できるのだから、とてもありがたいゲーム機が登場した、と言って良いだろう。それは同時に、多忙を極めるクリエイター達にとっても時間を節約できるGCの登場はありがたいことである。

三上氏は、“BIOHAZARD」戦略発表会”で任天堂の方針に大いに賛同している。『映像だけではない、本当におもしろいソフトを供給する、という任天堂さんの考えかたに昔から共感していたこともあり、キューブがそれができるハードということもあって、独占供給を決めました』(ファミ通.com Game 「“バイオ”シリーズはゲームキューブに独占供給」 2001年9月13日)。三上氏のこの言葉には嘘やお世辞は無いと思われる。多忙な三上氏にとって、自分のゲームを作る時間は限りなく少ない。その少ない時間の中で、良いゲームを作っていくためには、開発が容易なGCは無くてはならないゲーム機なのだから。

しかし、このような状況は、GCを迎え撃つPS2とSCEにとっては好ましい事ではない。確かに、バイオシリーズが移籍した所で、PS2優位の状況は変わらない。変わらないのだが、今回のこの移籍騒動が及ぼす影響はPS2にとって良いものではない。なぜなら、三上氏とカプコンが抱えている悩みと、同じような悩みを持っているクリエイターやソフトメーカーは少なくないからだ。彼らはゲームを時間的にも、資金的にも容易に作りたいと考えているのに、PS2ではそれを実現させるのは難しい。そんな時に、開発者側のニーズに合ったゲーム機が登場したらどうなるだろう。彼らはPS2よりGCに大きな魅力を感じてしまうのではないだろうか。そして、自社のソフトをGCで供給したいと考えるのではないだろうか。もし、そういう状況が 進み、GCがPS2に対抗するだけの力を持った時、各ソフトメーカーは、PS2に対してこれまでとは違う態度をとるかもしれない。そのような事態にまで発展した場合、SCEはソフトメーカーとクリエイターが抱える問題を解消するための何らかの対応策をとれるのだろうか。

もちろん、これは悲観的な見方の最たるものなのかもしれない。だが、こうなり得る可能性だって充分にあるのだ。三上氏とカプコンが起こした行動が、他のソフトメーカーでは起きないという保証は何処にも無いのである。もしかしたら、バイオシリーズのGC移籍は、歴史のターニングポイントになるのかもしれない。

(おわり)

(ライター:菅井)

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