【コラム】「子供を狙え ~メーカーの未来志向~」Part4
「未来志向」

ソフトメーカーが子ども市場に熱い視線を送るわけは大きく分けて三つあった。その中で,特に注目したい理由がある。それは「子どもを将来の顧客として育成すべく、子ども市場に力を入れている」という理由だ。この理由に注目するわけは、その他の理由は現在の利益を追求することのみであるのに対し、これだけは将来を見据えたものであり、毛色が異なっているためだ。そのため、ここからソフトメーカーの未来志向の萌芽を垣間見ることができる。

将来の顧客を育成することで、将来の繁栄を得るという未来志向は、他の様々な所で見ることができる。代表的なものにはプロ野球があろう。プロ野球では、球場に足を運ぶ子どもを対象に帽子などの野球グッズをあげたり、オフシーズンになると有名選手による野球教室やサイン会などを開催したりと、子どものころから少しでも野球に興味を持ってもらうように活動をしている。この活動の狙いは、将来の野球ファンを育成し、プロ野球というスポーツビジネスを継続的に成功させようとしている所にある。

同じ事がゲーム業界でも言えるだろう。いくらゲームビジネスが数千億円規模に成長したとはいえ、次なるゲームファンを育成していかねば、ゲーム業界は極端な話、無くなると言っても過言ではない。任天堂の山内社長は常々こう口にしている。『テレビゲームなんて娯楽でしょ。生活必需品ならともかく、テレビゲームは、別にないから生きられないというものじゃないんです。…ゲームなんてユーザーにとっては、いざとなったらなくても差し支えないということです』(「NHKスペシャル 新・電子立国 第4巻 ビデオゲーム・巨富の攻防」 P261 著相田茂・大墻敦 日本放送出版協会 1997)。ゲームは遊びであり娯楽であるがゆえに、その存在を常に保証されているわけではない、と彼は言う。だからこそ、ソフトメーカーは自らの将来のために、未来のゲーム業界を支えてくれるであろう子ども達に、ゲームの面白さや楽しさをきちんと伝え、彼らをゲームファンとして育んでいかねばならないのだ。その一つの方法として子ども市場に注力している現状は、ゲーム業界がプロ野球と同じように継続的にビジネスとして成功する要因を確実に作りつつあるといえるのではないだろうか。

勿論、ソフトメーカーは営利企業であるのだから、子ども市場に関わる以上はそこで利益を挙げなければならない。だが、利益というものはいま手に出来る利益だけではないはずだ。将来的に得られる利益もその中に当然含まれるのではないか。だとすると、仮にソフトメーカーが子ども市場で商品やサービスを提供し、その結果として赤字になったとしても子ども市場から簡単に撤退するべきではない。それは、現在の利益を重んじるばかりに将来の利益を損ねてしまう可能性があるからだ。格言にある「損して得とれ」の言葉の通り、たとえ今は損をしたとしても将来的にそれを大きく上回るような得をすればよいのである。

そうなると、子ども市場は“市場”と表現するよりも、次世代のゲームファンの“育成場”であると言ったほうが良いのかもしれない。“市場”から“育成場”への発想の転換は、従来の価値観だけで子ども市場を見ていると犯してしまうかもしれない、大きな失敗を避けるために必要になってくる。

「育成なくして未来なし」。そういう視点を第一に持って、子ども市場を考える事が出来た時、産業として歴史的にまだまだ未熟なゲーム業界は、大人への階段を一歩のぼったことになるだろう。

(おわり)

(ライター:菅井)

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