【コラム】「映画ビジネス始動 ~その必然性と問題点~」Part3
「夢」
 
ゲームから映画への流れは、何も制作面だけの必然性によるわけではない。それ以外の理由もあるのだ。ゲームから映画への進出の必然性を生み出したもうひとつの要因がクリエイター達の“夢”であろう。

『ゲームデザイナーの方にお話をうかがうと、“ほんとうは映画をつくりたかったんだよ”と吐露される方が多くて驚きます』(「ゲームの大學」 著平林久和・赤尾晃一 メディアファクトリー 1996 P289)。

ゲームクリエイターの人たちの間では、この言葉を証明するかのように映画好きの人が多い。一例を挙げると、「ロックマン」シリーズや「鬼武者」などを手掛けたカプコンの稲船敬ニ氏、コナミコンピュータエンタテインメントジャパンWESTの小島秀夫氏、ナムコ会長兼社長の中村雅哉氏などなど…。特にナムコ中村氏の映画好きは有名で、破綻した名門映画会社「にっかつ」の経営再建を支援したり、映画配給・版権の販売等を行っているギャガ・コミュニケーションズの会長にも就任したりと、映画産業に深い関わりがある。

その他には、コーエー襟川陽一最高顧問やコナミ上月景正会長は、盛んに映画とゲームの融合を目指す、とも主張しているのだ。

こうしてみると、ゲームクリエイター達には映画に対する憧れと、映画を作りたいという希望が前々からあったと言えるだろう。こんな背景があったからこそ、ソフトメーカーは映画ビジネスを始めたのではないだろうか。確かに坂口氏の言う通り、ゲーム作りと映画作りは技術面・制作面で大差はないのであるから、ゲームから映画への進出は技術的に必然であったはずだ。しかし、技術だけでは面白い映画は作れない。クリエイター達にゲームと映画は制作面で似ているから、ゲームと同じように映画を作れ、と指示したところで面白いものができるはずが無いのだ。これはゲームソフトの開発と同じである。1996年に出版された「ゲーム戦争」という本によると、セガはゲーム開発には志願制を執っている、と記されている。『上から強引に命じても、いいソフトができるわけがない。ソフト開発は、上司にいわれたから適当にやる、というものではない。あくまで、本人のやる気が主体であった』(「ゲーム戦争」 著大下英治 光文社文庫 P308 1996)。

全く同じことが映画作りにもいえるだろう。上からの命令で映画を作ったとしても良い映画などできるわけがないのだ。あくまで、彼らクリエイターが映画を作りたいと考えなければ、ソフトメーカーによる映画ビジネスなどは成立しないのだ。そうであるなら、各ソフトメーカーが映画ビジネスに進出しようとしている現状は、それぞれのクリエイターが映画を作りたいという強い願望から必然的に生まれたものであるといえるだろう。つまり、映画ビジネスはクリエイター達の願望と、ゲーム制作技術からの二つの必然性があったこそ誕生したのである。

(つづく)

(ライター:菅井)

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