【コラム】「クリエイターを解放せよ ~開発と経営の分離~」Part4
「餅は餅屋」
 
ことわざに「餅は餅屋」という言葉がある。その道のことはその道の専門家が一番である、との意味だが、まさに今回のソフトメーカーの決断には、こうした考えが念頭にあったのではないだろうか。クリエイターに、開発も任せ、経営も任せるのではなく、彼らの特性を活かすためには専門分野である開発だけに集中させる事が、ソフトメーカーにとって有利であると考えたための決断ではないのか。

逆に言えば、これは会社の経営には経営の専門家が必要になったことでもある。それを裏付けるようにアトラス・コーエーでは、社長が交代し、いずれも経営に関しての能力がある人物がその地位についている。これは「餅は餅屋」の思考が開発と経営を明確に分けたために起きた経営面での変化だと考える事が出来る。

最近は、ソフトメーカーの経営もゲームソフト開発と同様に高度化してきている。売れないソフト・高い開発費・複数化するプラットフォームなどの厄介な問題が山積している。これまでとは違う環境にソフトメーカーは置かれているのだ。だからこそ、経営には専門家を用いる必要性があったのである。

ただ、こうした経営の専門家の登用もすべては、開発のため、クリエイターのためである。彼らに煩雑な業務をさせるよりも、より開発に専念させる方が結果としてソフトメーカーに多大な恩恵をもたらすことになるからだ。ソフトメーカー・ハドソンの社長である工藤浩氏は、創業以来、ハドソン社の経営をまかされてきたが、創業者であり技術者である兄・工藤祐司氏にはこう配慮しているという。『浩にとっては、“資金繰りなどの世俗的な雑事で祐司の頭を悩ませてはいけない”というのが大命題』(P132 「セガvs.任天堂」 著赤木哲平 JMAM 1992)。このようなことからもソフト開発者には日常的な雑務で頭や時間を使わせるより、開発を専門にやらせておいた方が良いとする経営専門家の考え方を垣間見ることが出来る。

では、この一連の流れは他のソフトメーカーにも波及するのであろうか。その答えを見つけ出すのは困難だが、前出の二人のクリエイターの言葉を考えると、ソフトメーカーがとるべき道は見えてくるような気がする。KCEJ WESTの小島秀夫氏はこう語る。『でもね、ほんとはプロデューサーなんて言葉、なくなってしまえって思いますよ。スタッフがうらやましい。朝から晩までゲームの事だけを考えていれば良いんですから』(P33 週刊宝島 2001 3.14 NO.496 宝島社)。副社長であり、プロデューサーでもある小島氏には、多種多様な雑務が存在し、ゲーム作りに費やす時間があまりない。彼の密やかな望みを叶えてあげるのが、小島氏のためでもあり、ひいてはKCEJ WESTのためでもあると考えているのは、筆者だけであろうか。彼の望みが叶う日が訪れることを祈りつつ、今回は筆をおく事にしたい。

(おわり)

(ライター:菅井)

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